株式会社三重エスカルゴ開発研究所(エスカルゴ牧場)は、日本のカタツムリとは異なるエスカルゴの有用性を研究し、農林水産省からブルゴーニュ種の養殖許可を取得。1987年に設立し、15年以上の歳月による研究の結果、1993年に世界で唯一、エスカルゴの中で最も貴重であるブルゴーニュ種の完全養殖に成功しました。
エスカルゴ牧場は、長年の研究と努力の末にブルゴーニュ種の完全養殖に成功しました。これは、世界中のエスカルゴ養殖業界において唯一の快挙です。フランス本国でも乱獲と環境変化により個体数が激減し、保護動物に指定されるほど希少なブルゴーニュ種の完全養殖することに成功しました。この養殖技術の確立は、フランス料理の高級食材を安定的に供給するための重要な一歩となりました。
従来、エスカルゴの成長には自然界では3年の期間がかかるとされていましたが、エスカルゴ牧場の養殖技術では、この期間を約4ヶ月にまで短縮することに成功。より効率的に高品質なエスカルゴを生産し、安定供給が可能となりました。
エスカルゴ牧場の養殖施設は、フランスの自然環境を再現するために高度な温度・湿度管理システムを導入しています。養殖棟内の温度は適切な温度・湿度に保たれています。これにより、エスカルゴが最適な環境で成長し、品質が保証されます。また、夏場は除湿を伴わない気化冷却方式を採用し、冬場も適切な温度・湿度を維持しています。
エスカルゴ牧場では、長年の研究に基づいて開発された専用の配合飼料を使用しています。この飼料は、トウモロコシや大豆の粉などを主成分とし、エスカルゴに必要な栄養素をバランスよく含んでいます。この研究成果からエスカルゴは健康に成長し、栄養価の高い食材として提供されています。
エスカルゴ牧場は、「たべて 見て さわって」という三つの観点を通じて、エスカルゴの魅力を総合的に提供しています。見学ツアーでエスカルゴの育成環境を学び、体験プログラムでエスカルゴに触れ、レストランでエスカルゴ料理を味わうことで、訪れる人々はエスカルゴの価値を深く理解し、楽しむことができます。このような多角的な体験を通じて、エスカルゴ牧場はエスカルゴの魅力を広め、その価値を高めています。
エスカルゴ牧場で養殖されているブルゴーニュ種(Helix pomatia)は、フランス料理において最も珍重される最高品種です。その養殖には高度な技術と長年の研究が必要であり、エスカルゴ牧場ではこの品種の完全養殖に成功しています。
エスカルゴにはいくつかの種類があり、それぞれに独自の特徴があります。
特長 | 大きな殻と豊かな風味が特徴で、フランス料理では最高級品とされ、「森のアワビ」と評されています。肉質が柔らかく、栄養価も非常に高いです。 |
---|---|
生産と販売 | フランスでは乱獲と繁殖力の弱さから個体数が激減し、保護動物に指定されており、禁猟期間(7月から8月にかけて)が設けられています。そのため、エスカルゴ牧場での養殖は非常に貴重です。 |
普及状況 | 高級レストランや専門店で取り扱われることが多く、フランス国内外で高い評価を受けています。 |
特長 | ブルゴーニュ種よりも小型で、味わいは軽く、調理がしやすいです。繁殖力が強く、商業的に広く養殖されています。 |
---|---|
生産と販売 | 地中海沿岸地域や北アフリカ、アメリカなどで広く養殖され、手頃な価格で販売されています。 |
普及状況 | フランス国内でも一般的に利用され、多くのレストランで提供されています。 |
特長 | 非常に大きな殻を持ち、肉質が厚く、豊かな風味があります。しかし、味わいは他のエスカルゴ種に比べるとやや異なります。 |
---|---|
生産と販売 | 主に東南アジアやアフリカで養殖され、日本やその他のアジア諸国で消費されています。 |
普及状況 | フランス料理では本来的に一般的ではなく、ブルゴーニュ種やプティ・グリ種の代用品として使用されるケースがあります。 |
一般的な日本のカタツムリとエスカルゴ牧場で養殖されているブルゴーニュ種のエスカルゴは、見た目は似ていても、全く異なる存在です。
エスカルゴ ブルゴーニュ種 | 日本のカタツムリ | |
---|---|---|
食用価値 | 高い栄養価を持ち、フランス料理の高級食材として珍重されています。 特に、体内に吸収されやすいコロイド・カルシウムやビタミンB群、βカロチンを豊富に含んでいます。 |
農作物を荒らす害虫とされ、食用には適していません。 一般的に日本のカタツムリは栄養価が低く、食用としての価値がありません。 |
生態と習性 | フランスを中心とした森に生息しています。 エスカルゴ牧場ではフランスの森を忠実に再現した環境で育てています。 |
自然環境で自由に餌を摂取し、湿潤な環境を好みます。 農作物に被害を与えることがあります。 |
餌と育成環境 | 長年の研究に基づいて開発された専用の配合飼料のみを食べます。 栄養価が高く、病原菌の心配がありません。 |
自然環境で自由に餌を摂取するため、農作物に被害を与えることがあります。管理が難しく、素手で触ることは避けなければなりません。 |
繁殖力 | 繁殖力は比較的弱く、特定の条件下でのみ繁殖が成功します。 | 繁殖力が強く、適した環境があれば増殖します。 |
病原菌のリスク | 養殖環境が厳密に管理されているため、病原菌の心配がありません。消費者が安全に食べられるように徹底した衛生管理が行われています。 | 病原菌の媒介者となることがあり、健康リスクが伴います。 素手で触ることは避けるべきとされています。 |
養殖の難易度 | 高度な技術と厳密な管理が必要です。専用施設での養殖でなければ成功せず、専門的な知識が必要です。 | 自然環境での繁殖が容易ですが、農作物に被害を与えるため管理が難しいです。 |
市場 | 高級食材として市場価値があり、特にフランス料理において需要があります。 | 経済価値はほとんどなく、むしろ農作物への被害から駆除対象とされています。 |
エスカルゴは、その美味しさと栄養価の高さで古代から現代に至るまで多くの人々に愛され続けています。
元々は海に生息していた貝の仲間が陸上に進出し、「陸の貝」として進化したエスカルゴ。
その歴史と進化の過程は、自然の驚異と人間の食文化の融合を象徴しています。
エスカルゴ牧場では養殖や体験を通じて、日本でもこの素晴らしい食材の魅力を広く伝え続けていきます。
エスカルゴ(Escargot)はフランス語でカタツムリを指し、特に食用としてフランス料理で広く親しまれています。古代ローマ時代からエスカルゴは高級食材として楽しまれており、その美味しさと栄養価の高さで人々を魅了してきました。当社では“エスカルゴ”を食用のためのものとして、“カタツムリ”を日本由来のいわゆるカタツムリとして明確に言葉を区分しています。
エスカルゴが「陸の貝」と呼ばれる理由は、その進化の過程にあります。エスカルゴは元々、海に生息していた貝の仲間でした。約4億年前の古生代デボン紀、彼らの祖先は水中生活をしていましたが、環境の変化に伴い徐々に陸上へと進出しました。陸上での生活に適応するために、エスカルゴは肺呼吸をするようになり、現在の形態へと進化しました。
古代ローマ時代には、エスカルゴは既に珍味として知られていました。ローマ人はエスカルゴを大いに愛し、専用の飼育場「ルミコラリウム」を設けて養殖していました。ローマの貴族たちは、エスカルゴを特別なソースで味付けし、美味しい料理として楽しんでいました。これが現代のフランス料理におけるエスカルゴのルーツとされています。
中世ヨーロッパでも、エスカルゴは高級食材として扱われました。特にフランスでは、エスカルゴ料理が貴族や修道士の間で人気を博しました。フランスの修道士たちは、エスカルゴを断食期間中の重要なタンパク源として重宝しました。彼らはエスカルゴを「陸の貝」として認識し、その栄養価と美味しさを楽しみました。
エスカルゴにはいくつかの主要な種類があります。最も有名なのは、ブルゴーニュ種(Helix pomatia)です。この種は特にフランス料理で高く評価されており、その大きな殻と豊かな風味が特徴です。他にもプティ・グリ種(Helix aspersa)やアフリカマイマイ(Achatina fulica)などがありますが、これらはブルゴーニュ種に比べると小型であったり、風味が異なったりするため、用途が異なります。
現代では、エスカルゴはフランス料理の代表的な一品として世界中で楽しまれています。フランスでは、エスカルゴを特製ガーリックバターソースで調理し、エスカルゴブルギニョンとして提供するのが一般的です。また、フランスを中心とした近隣国においてエスカルゴの養殖も盛んに行われていますが、養殖されているのは主にプティ・グリ種(Helix aspersa)やアフリカマイマイ(Achatina fulica)です。世界で見ても最高品種であるブルゴーニュ種の完全養殖に成功したのはエスカルゴ牧場だけです。
エスカルゴ牧場はブルゴーニュ種の完全養殖に成功し、その価値を広める役割を担っています。エスカルゴ牧場では、フランスの自然環境を再現した養殖施設を整備し、長年の研究に基づいた養殖技術を駆使して高品質なエスカルゴを生産しています。これによって、日本国内でも本物のエスカルゴの美味しさを楽しめるようになりました。